平均年収600万円以下でも、編集者に憧れる人がいる理由
こんにちは、こけしです。
編集者は普段どんな仕事をしているのか、についてまとめてみたいと思います。
■編集者は「なんでも屋」
世間一般で言われている編集者はこんな感じでは?
・朝が遅くて、夜も遅い
・本を読むだけで仕事になる
・経費で喫茶店に行き、時間をつぶす
・作家先生のために東奔西走
・作家先生と高級料亭へ
これ全部、正解です。
でも、もちろん仕事はそれだけじゃあありません。
こんどは私のイメージを書いていきます。
・意味不明な原稿を、意味が通るようにリライトする
・著者の理不尽な要求をうまく交わしつつ、一冊の本をつくる
・原価割れしないように、でもいい本になるように悪戦苦闘する
・自分が作っている本が、予定通りの月に出版されなくなったら、会社が潰れるかもしれない、という恐怖に襲われている
・著者や校閲さんから戻ってきた赤字(原稿の訂正)を、一つのゲラ(校正用にプリントアウトしたプリント)に転記するのが、細々とした作業で大変
・写真を探したり、テープ起こしをしたりと、とにかく雑務がいっぱい
一言でいうと、とても面倒くさい仕事だと思います。
私はいつも、編集者って何やるの?と聞かれたら、こう答えています。
「営業+経理+総務+マーケティング+社長」
本に関わるすべての仕事をするのが編集者、という言い方がよくされますが、それはたぶん、一つの会社が事業を営むとよく似ています。
営業=著者から原稿を奪ってくるのは立派な営業マンの仕事です
経理=一冊あたりの原価を考えながら本を作るのは、立派な経理の仕事。財務の仕事といってもいいかもしれません
総務=写真を探してきたり、資料本を集めたり、これは筆記用具や事務用品を会社に用意する総務の仕事とうり二つ
マーケティング=編集者とは企画マンですが、市場調査は書かせません
社長=会社によって変わると思いますが、ある一つの本がよい本になるかはすべて編集者のセンスと決断です
■編集者の平均年収は600万円以下!
ネットで検索すると、編集者の平均年収は、600万円くらいと出ています。
一般に編集者は高収入というイメージがあると思います。でも、それは一部の超大手だけの話。具体的には、講談社、小学館、集英社の三代出版社です。このあたりは平均年収が2000万円を超えると言われていますね。その他にも、福音館書店や医学書院などの特殊な販路がある出版社も、三大出版社と同水準です。
どこの業界でもそうですが、上位の数社が高年収というわけです。
最初にあげた600万円という数字は、業界平均というわけですが、ほとんどの出版社はこれを下回っていると思います。公開されているのはよほど業績がいいところですから。
そもそも出版社は3500社ほどが日本全国にあり、うち、ほとんどが東京にあります。
そして、大半が従業員100人以下の中小零細です。私の感覚ですが、9割以上が中小零細ではないかと思います。
そして、そうした出版社の平均年収は400万円ほど。よくてこの数字です。たいていは30歳で250万円~350万円ほどではないでしょうか。
■編集のやりがいは、自分で物を作れること
そんな編集者ですが、長年があるのはなぜなのでしょうか。
先日、大手建設会社に勤める30代なかばの人が、中途で出版社に応募していましたが、それだけの魅力があるのでしょう。
私は編集者の仕事の最大の魅力は、「自分で物を作れること」。これに尽きると思います。しかも、それがよかれ悪かれ日本の文化を作っている。
けっして高収入を望める仕事ではないですが、やりがいは十分なのが、編集者なのです。
今日はこんなところで。